(何だかな〜・・・)
シオンは自室で手紙に目を通しながら心の中で溜息を吐いた。
その手紙というのは、貿易相手国からの、極めて事務的な手紙であった。
その国は雨が多いのだが、今年は例年以上の大雨に見舞われ、農作物に大ダメージを受けた。
そのため、アドビスからの作物の輸出量を上げて欲しい、との事だが、その量が半端ではない。
困っているのはわかるが、アドビスも決して自給率が良いわけではない。
こっちも生活がかかっているので、簡単に「ハイそうですか」と言うわけにはいかなかった。
(あの親父は・・・こういう大事な話を何で俺様に回すんだ?)
読み終えた手紙を机の上に無作法に置き、シオンは至極根本的な疑問を持つ。
(まだ国の実権は親父が持ってるんだし・・・全く・・・)
その行動が“王子”として認めてくれての行動だとしたら素直に嬉しい。
が、物には限度というものがある。
ここ最近、やれ会議だのやれ取り引きだのと、シオンは連れ回されっぱなしであった。
部屋に帰れば帰ったで、色んな手紙や書類が待っている。
(まぁ・・・・・・別にいいケドな・・・・・・)
王子である以上、いつかは“王”となり、この国を導いていかなければならない。
(それを思えば、今のうちからこういう作業に慣れておくのも、悪くはナイ。)


『シオンなら、きっといい国作れるよ』
ふいに、まだウリックだったイリアが言ってくれた、あの一言が脳を掠めた。
「無責任なコト言いやがって・・・」
そうシオンは呟くが、顔はほころんでいる。
「あんな堂々と言われたら・・・その通りにするしかねーじゃねーか・・・・・・」

イリアは不思議な力を持っている。この窮屈な国が、徐々に窮屈じゃなくなって来ているのは、間違いなく彼女のおかげである。
「・・・・・・・・・・・・」
(そう言えば・・・アイツ今ごろどうしてるカナ・・・)
王から色々な用事を託されたせいで、シオンのプライベートはほとんど無い状態が続いていた。
(しばらくまともに会話すらしてないナ・・・)
ぼんやり視線を右手に落とすと、今度は、
『・・・シオン』
と、掠れたイリアの声が脳内に響いた。
「!!?」
ハッとしたシオンは思わず仰け反り、勢い余って椅子の背もたれに思いっきり背中をぶつけてしまった。
「っっってーーー・・・」
痛めた箇所を擦りながら前を見ると、さっきよりもはっきりとした声。
しかも今度は、映像のオプション付き。
『・・・シオン・・・・・・シオ・・・ッン・・・・・・』
乱れた髪と吐息。汗ばんだ肌。快感に歪んだ顔。
(何考えてんだ、俺様は!!?止まれ、止まれ、止まれーーー!!!!!!)
しかし念じれば念じるほど、映像はより鮮明になる。
(うーーーーーーーーーーーーわーーーーーーーーーーーーーー!!!???)
その後、頭の中からそのビジョンが消えるまで、シオン様の戦いは続いた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何とか落ち着きを取り戻すと、改めて先程のビジョンの解析を始めた。
喘ぐイリアの後ろに、本棚の森が見えた。この城であんなに本棚がある場所といえば、あの書庫しかない。
シオンとイリアが、初めて体を重ねた場所−−−
(何でいきなりあんなコト思い出したんだ・・・)
頭を抱えるシオン。
(確かに、会いたいとは思ったが・・・それは単に顔が見たいとか、話がしたかっただけで・・・
決して邪な想いからではなく・・・)
(だけど・・・思い出したってことは、心のどこかで“そうしたい”っと思ったからなのかものナ・・・)
(俺様だって年頃の男だし・・・・・・)
だんだん開き直ってくるシオン。

(俗っぽくてこういうコトはあまり言いたくないんだが・・・・・・・・・・)





(ぶっちゃけ・・・溜まってるんです・・・・・・・・・)
誰に向けたか解らない敬語だが、シオンは自身の現在の状況を極めてシンプルに表現した。
そして深い溜息をつきながら机の上に伏せると。

ガチャッ。

景気のいい音を響かせて、イリアが入ってきた。
「イリア!?」
(よりによってこんな時に・・・)

「あ、シオンお疲れ〜」
イリアは軽くシオンを労うと、部屋の中をせわしなくキョロキョロと見渡していた。
「・・・・・・何やってんだ、お前?」
頬杖をついて呆れ顔でシオンが尋ねたが、
「・・・・・・・・・・・・」
イリアは真剣な眼差しで棚の後ろやベッドの下、クローゼットの中を覗き込んでいる。
「・・・・・・無視かよ。」
力無くシオンが呟くと、何を思ったかイリアはシオンの足元に潜り込んできたのである。
「・・・・・・!?」
素早く器用に机の下とシオンの足との空間の間にスッポリ納まると、人差し指だけを唇の前で立てて“静かにしてネ”の合図をすると
「あのね・・・今レムとミトちゃんとでかくれんぼしてるんだ。」
と小声で説明してくれたが、それだけで納得できるはずもない。
「・・・・・・何でこんな所に隠れるんだ?」
シオンは律義にも合図通り小声で尋ねた。
「だって・・・クローゼットの中とかベッドの下なんてありきたりな所じゃ見つかっちゃうもん。」
「だって・・・・・・って、お前なぁ・・・」
(この広い城の中で何でわざわざ俺様の部屋に来るかなぁ・・・)
参った、という感じで頭を掻くと
「お義兄様〜入りますね〜」
ミトが元気良く部屋に入ってきた。
「シオン・・・私がここにいること、言っちゃヤダよ?」
イリアは上目遣いでそうお願いすると、息を殺してミトの様子を伺い始めた。
(そんな顔で俺様を見るな〜〜〜〜〜〜!!!)
思わず声になりそうだったのを必死に堪えて、シオンは心の中で絶叫した。
そうこうしてるうちに、ミトはベッドのシーツを思い切りめくったり、書棚の本を引っ張り出したり、クローゼットのドアを力強く開けたりしていた。
「おっ、オイ、ミト・・・そんな乱暴に・・・・・・!」
(!?)
慌てて体ごとミトの方に振り向こうとすると、足元に感じる柔かい感触に気づいた。
(これは・・・まさか・・・・・・)
嫌な予感がしつつも視線をゆっくりと足元に落とすと、イリアはシオンの膝に手を添えて、ミトに見つからない程度に身を乗り出していた。
結果的に、イリアの胸はシオンの太ももに押し付けられることとなり−−−
(うーーーーーーーわーーーーーーーー!!!)

シオンはまたも心の中で絶叫した
「うーん・・・・・・いませんね〜・・・」
あらかた探し終わり、満足したらしいミトは、
「おジャマしました〜」
と笑顔で会釈して部屋から出ていった。バタン、とドアの閉まる音を確認し、深呼吸してから
「オイ・・・ミトはもう出ていったぞ。お前も早く出てけ。」
シオンはわざとイリアの方を見ずにそっけなく言った。
これ以上イリアにここにいられたら、色んな意味で困るのだ。
「うん。ありがと、シオン。私のコト黙っててく・・・」
イリアの言葉が突然途切れたので、不審に思ったシオンがイリアの方を見ると。
彼女の視線は、衣服が不自然に盛り上がった箇所に注がれていたのである。
(げっ!!?)
慌ててその部分を両手で抑えるシオン。イリアはその間も微動だにせず、その部分を見ていた。
「いや・・・そのっ、コレは・・・・・・お前が体を押し付けるから勝手に・・・・・・そっ、そうだ・・・お前が女で俺様が男である以上極めて自然な生理現象であって・・・」
オタオタと必死に弁明するシオン。
「・・・・・・・・・・・・」
しかしイリアは相変わらず目を見開いたまま黙っていた。
(軽蔑・・・・・・されたか?)
シオンは恐る恐るイリアの顔を覗き込むと、イリアはようやく呪縛が解けたかのように、ゆっくりと呟いた。
「スゴイ・・・」
(は?)
「スゴイって・・・・・・何が?」
疑問を口に出さずには入られない。しかしイリアはその問いかけには答えず、あろうことか
「見せて。」
と言い出したのである。
(はぁぁぁぁ!!?)
混乱したシオンの両手が少し浮いた隙をつき、イリアはシオンの衣服に手をかけた。
「オッ、オイ!?何考えてんだお前!?」

「いーじゃないか減るもんじゃないし!それにシオンは私の裸見た事あるのに、私はシオンの裸見た事ないもん!!ズルイよ!!」
妙な理屈を掲げてシオンのズボンを脱がしにかかるイリア。
(相変わらずワケわかんねぇ・・・!!)
脱力するシオン。
取り敢えずここでの勝負はイリアに軍配が上がり、静かに脈打つその部分が露になった。
「わーーー・・・・・・」
イリアはポカンと口を開けてまじまじとソレを見る。
「そんなまじまじ見て・・・平気なのか?気持ち悪くねーのか??」
少し照れ気味にシオンが聞くと
「え?何で?気持ち悪いわけないじゃない。大好きなシオンの体だもん。」
にこやかにイリアは答える。
(よくもまぁそんな恥ずかしい台詞をさらりと言えるもんだ・・・)
苦笑しつつも、
(でも、まぁ、嫌じゃないみたいだから、良かったな・・・)
と一安心したのだった。
のもつかの間。
「何か不思議な感じだね。」
イリアはそう言うとおもむろにシオンのソレを優しく包みこみ、擦り出したのである。
「イッ・・・イリア!?」
「わー・・・スゴーイ!面白い感触!」
何が面白いのかシオンには全く理解できなかったが、とにかくイリアは一撫で、また一撫で、と止む事無くシオンを擦り続けた。
(う・・・)
イリアにしてみれば小動物の頭を撫でるのと同じ感覚で撫でていただけだったので、それがシオンにとって絶妙な愛撫になっていようとは夢にも思っていない。
(ヤバイ・・・・・・めちゃくちゃ気持ちいい・・・・・・)
イリアの行為は少しずつエスカレートしていく。シオンは先程のイリアの言葉を信じ、試しに聞いてみた。
「なぁ・・・そこにキスしてくれねぇか?」
「え?」
シオンの問いかけにイリアの動きが一旦止まる。
「あ・・・いや、別に嫌ならいいけど・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
イリアは両手でシオンを包んだまま、暫く考え込み、
そして。
「・・・ここにすればいいんだね?」
と小さな笑みを浮かべて、先端部分にそっと口付けをした。
「こ・・・これで、イイ?」
おずおずと上目遣いで聞き返すと、
「いいから、もっと続けろ・・・」
イリアは一瞬“えっ!?”と顔を曇らせたが、またすぐに顔を下に向け、口付けを繰り返した。
「んっ・・・」
流石に今度は声が漏れた。
「・・・・・・シオン?」
「あー・・・・・・俺のコトは気にせず、続けてくれ・・・」
「う・・・うん?」
イリアは言われるままについばむようなキスを繰り返す。
「ア・・・・・・レ?」
暫くして現れたシオンの異変に、思わず顔を顰めるイリア。
「ね、シオン?何か変なのが出てきたんだけど・・・?」
今までの流れのせいで調子に乗ったシオンは、
「舐めてみろよ。」
と意地悪く命令してみたりした。
「え・・・えぇっ!?」
「心配しなくても毒なんて入ってないゾ。」
「そ・・・そんなのはわかってるよ!む〜〜〜・・・・・・」
イリアは不満気に口を尖らせたが、やはり馬鹿正直にシオンの命令に従った。
そろそろと舌を出して、先端から零れる雫を舐める。
「何コレ・・・・・・変な味・・・・・・・・・」

イリアが露骨に嫌そうな表情を浮かべたので、
(流石にこれ以上は無理か・・・)
と、判断し、シオンはイリアの頭をポンと優しく叩いて
「ヤな事させて悪かったナ。もういいゾ。」
と微笑んだ。
「う・・・・・・ん。」
イリアはゆるゆると起き上がり、シオンの両肩をぐっと掴んで心の隅で疑問に思っていた事を口にした。
「ねぇシオン。」
「な・・・何だよ?」
「さっきのヤツって・・・どんな意味があるの?」
「べ・・・別に何だっていいじゃねーか・・・」
「良くないよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
イリアの珍しく鬼気迫る口調に根負けしたシオンは、まず先程の行為の名を教えてから、知りうる限り(言ってもシオン自身も知っている事はわずかなのだが)を簡単に説明してやった。
「つまり・・・・・・その“ふぇらちお”をすると男の人が気持ちよくなるんだね?」
「お前そんな・・・堂々と口にすんなよ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
しかしイリアは押し黙って何やら考え込んでいる。
「・・・イリア?」
「それを途中で止めたってコトは・・・つまり気持ち良くなかったってコトで・・・」
ブツブツと呟くイリア。
と、突然しゃがみ込み、再びソコを包み込んだ。
「オッ、オイ!?」
「私だって女だもん。絶対絶っ対、絶〜〜〜対っ!シオンを気持ち良くしてあげるんだから!」
と、力強く宣言してソレを口の中に入れた。

(何でそんな結論に至ったんだ・・・!?)
という疑問は、しかし、電撃のように走る快感によって霧散する。
イリアは下半分を右手で擦り、上半分を口に含んだまま先端部分を舌でチロチロと小刻みに舐め回る。
「んっ・・・」
無意識のうちにくぐもった声がこぼれる。
「シオン・・・気持ち良い?」
と尋ねられたが、素直に「気持ち良い」などと言えるわけもなく、
「まぁまぁ・・・・・・ってとこだナ・・・・・・」
と曖昧に答えた。勿論、イリアを煽るという目的もあっての一言だったが、これがかなり効果的だったらしく、
「むぅ〜〜〜〜、強情だなぁ。こうなったら、意地でも「気持ち良い」って言わせるからね!」
と言うと、愛撫を更にエスカレートさせていった。
自分を気持ちよくさせようと必死(躍起、とも言う)になっているイリアを見て、
(一生懸命で可愛いナ・・・)
と思いつつ、
(それにしても単純な奴は扱いやすくていいナ・・・)
などと、鬼畜な事も考えてみたりした。
「んっ、んむっ、むぅ・・・」
イリアはイリアで、一心不乱にソコを貪り続けていた。
口の周りや指先には、溢れた白い液ネットリとまとわりついている。
やがてシオンに限界が近づく。
「イリア・・・顔、のけろ・・・・・・」
そしてシオンはイリアの顔を引き剥がそうとするが、イリアは構わず行為を続けた。
「オイ、もういいって・・・・・・、・・・・・・ッ!!!!!」
パシャッ。
イリアの両の手と顔、首から胸部に至るまで、白いドロッとした液でまみれた。

「あ、わ、悪ぃ・・・」
と慌ててイリアの顔を拭きつつも
「でも、放さなかったお前も悪いんだからナ・・・」
自分の正当性のアピールも忘れない。
「ね、シオン。」
「あ?」
「正直に言ってね。・・・・・・・・・気持ち・・・、良かった?」
真摯な眼差しで問い掛けるイリア。
(そんな目で見られたら素直に言うしかねーじゃねーか・・・)
「わっ!?」
イリアを力強く胸の中に引き寄せると、耳元でそっと
「安心しろ。ちゃんと気持ち良かったゾ。」
と、小声で囁いた。
「良かったぁ・・・・・・・・・っあ!?」
シオンの右手がイリアの秘部に触れたので、イリアはピクンと仰け反った。
「何だ・・・・・・もうこんなに濡れてるゾ?」
「だって、それはぁ・・・やん!」
説明しようとすると、シオンが指を微かに動かしてそれを邪魔する。
「あ・・・はぁ・・・・・・ん」
「俺様の咥えただけで濡れたのか?」
イリアの耳元で意地悪く尋ねる。
「う・・・」
「どうなんだ?」
シオンはイリアの首筋を舌で嬲りながら、もう一度聞いた。
「・・・そ、だよ・・・・・・シオンの、してたら・・・・・・私も何か・・・Hな気分になっちゃったんだもん・・・・・・」

その一言はシオンの欲情を更に掻き立てる。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
シオンはイリアを机の上に座らせると、ゆっくり足を広げさせた。
「シ・・・シオン!?」
シオンは、イリアが足を閉じれないように両の手を使って太ももの裏側を押え込み、濡れに濡れたその部分をまじまじと観察してやった。
「やっ、だぁ・・・そんな、見ないでよぉ!」
イリアが涙声で叫ぶと
「いいじゃねーか、減るもんじゃねーし。」
と、どこかで聞いたような台詞で返した。
「・・・・・・私の真似、しないでよ。」
イリアが頬を膨らませると
「悪い悪い。お前が可愛いから・・・ついな。」
と、軽く笑いながら、筋に合わせて舌を這わせた。
「・・・・・・・・・っ!!!」
「・・・我慢するなよ?」
シオンはピチャ、ピチャ、と水音を立ててその部分を集中的に舐める。
「んはっ・・・・・・あっ、ん・・・・・・」
イリアは両手で机の端をギュッと掴み、溢れる快感に溺れきらないように必死に堪える。
布を通してある程度イリアを楽しむと、シオンは「邪魔だナ、これ・・・・・・」と言わんばかりに下着を一気に引き摺り下ろした。
「えっ!?わっ、ちょ・・・・・・」
「そんなに慌てなくても、綺麗だゾ?」
イリアにそう教えてやると、襞に吸い付く。
「あっ、やぁん・・・あんっ・・・・・・」
シオンの舌の動きに合わせて、ピクン、ピクンと小刻みに揺れるイリアの肢体。
シオンは止めど無く流れ出る蜜を、一滴溢さずその舌で受け止める。
そして太ももに当てがっていた手を一旦放すと、今度は入り口に添えてそのまま押し広げて、更に奥へと舌を進ませる。
「はぅあっ、あん・・・は・・・・・・んんぅ・・・んっ・・・・・・あ・・・・・・」
「もうヌレヌレだゾ?どうすんだ?」
シオンは突起部を軽く噛みながらイリアに聞いた。

「シオンが・・・・・・欲しい・・・・・・」
期待通りの返事にシオンは笑みを漏らすと、目も虚ろな状態で机に座っているイリアを再び自身へと引き寄せた。
そして、力強く脈打つ自身をイリアの中へとねじ込む。
「んっ、うあっ・・・・・・あっ、あっ・・・・・・!!!」
イリアはキュッと目を瞑り、シオンの背に腕を回してしっかりとしがみついた。
「よし、全部入ったゾ。」
シオンはイリアの肩を優しく叩くと、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「ふっ・・・うあ・・・あぁん、あんっ・・・、あ、あぁっ・・・・・・」
シオンの出し入れに合わせて甘えた悲鳴を上げるイリア。
「気持ちいいか?」
イリアを揺さぶりながら尋ねてみると、
「まぁまぁ、って・・・ん、感じ・・・っあ、かなぁ・・・っ」
自分の台詞を真似されたのがよっぽど悔しかったのか、イリアもシオンが吐いた台詞を使って答えた。
「お前ナ・・・・・・」
シオンは呆れるが、しかし、何か閃いたようで、直ぐに意地悪い笑みを浮かべた。
「仕方ナイ・・・・・・それじゃ、気持ち良くなってもらうために、もっと激しくするか。」
「え!?あっ、あふぁ・・・・・・」
シオンの出し入れがより一層激しいものになる。
「う、わぁん、やぁ・・・っぁあん、あん・・・・・・っあ、っや・・・・・・」
「イリア・・・」
「んっ・・・・・・んんぅ・・・」
甘い吐息を漏らすイリアの唇を絡めとり、深く長い口付けを与える。
「は・・・ぁ、シオン・・・・・・私・・・・・・私、もう・・・・・・」
「・・・お前の中でイッてもいいか?」
「・・・いいっ、よ・・・・・・っあ、あぅ、んは、あ・・・ああぁぁあぁあぁぁあっ!!!」
「・・・・・・ッ!!!」

「シオン。シ〜オン!おっはよう〜」
「え?うわぁっ!?」
目を開くと、視界いっぱいにイリアの顔が広がったので、思わず変な叫び声をあげてしまった。
「何そんなに驚いてるの?変なシオン!」
屈託無く笑うイリア。
「それにしても珍しいネ、シオンが昼過ぎまで寝てるなんて。」
イリアの言葉と自分の視覚から得た情報を総合する。
(え〜っと・・・パジャマ着て、ベッドの上で昼過ぎまで寝てて・・・・・・)
「なぁイリア・・・・・・今日俺の部屋に来たのは初めてだよな?」
何となくオチが見えてきたが、一応聞いてみる。
「え?うん、そうだよ。今日はさっきまでレムとミトちゃんと一緒に遊んでたし。」
(やっぱり夢かよーーーーーーーーーーーーー!!!)
ベッドの上で項垂れるシオン。
「えっ、シオン?どうしたの・・・?」
「いや・・・何でもねー・・・・・・気にすんナ・・・・・・・・・」
(そうだよな・・・いくらのイリアでもあそこまで単純馬鹿じゃないよな・・・
それにしてもあんな夢見るとは・・・・・・末期だな、俺様も・・・・・・)
そして、イリアに気付かれないよう、そっとシーツとパジャマを確認する。
(夢精してなかったのが唯一の救いだナ・・・・・・)
力なく乾いた笑みを浮かべるシオン。
「あ、そうだ。王様から伝言頼まれてたんだ。あのネ・・・シオンの王子っぷりが嬉しくて
最近働かせ過ぎたから、今日はゆっくりお休みしていいって・・・」
「あ?親父、そんなコト言ってたのか?」
「うん。何だかんだ言って、いいお父さんだよね。」
イリアが柔かくはにかんだ。
「・・・・・・・・・そうだナ。」
つられてシオンも優しく笑う。

「じゃぁ、シオン?何して遊ぶ?」
「?は?何でいきなりそんな話になるんだ?」
「だって・・・・・・レムもミトちゃんも今お昼寝してて、遊ぶ相手がいないんだもん!」
「そうなのか・・・・・・?」
「うん。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
シオンは静かに思考を巡らした。
イリアはキョトンとした顔でシオンを見つめている。
やがて何か思いついたらしく、シオンが姫を攫いに来た悪者を彷彿とさせる邪悪な笑みを見せたのだが、イリアは全く気づかなかった。
「なぁ、イリア・・・・・・」
「ん?何何・・・?って、わぁっ!?」
シオンはイリアを引き摺り寄せ、そのまま押し倒し、その上に覆い被さった。
「えっ、えぇ・・・・・・!?ちょ、待って・・・・・・」
流石のイリアも、これから起こる出来事の予想くらいはできた。
「これだって立派な“遊び”だゾ?」
「う、嘘だぁっ!・・・・・・っん」
「いいから黙ってろよ。」
シオンはイリアの両手首を押さえつけながら、自身の唇を使ってイリアの言葉を封じる。


(それじゃぁ、まぁ・・・・・・)


(正夢にさせてもらいますか・・・・・・)



終わり。